新型コロナウイルス感染症の影響はお葬儀にも大きな変化をもたらせています。三密を避けて縮小化傾向になっており、とくに外出制限があった時は、親の葬儀でさえも飛行機や新幹線等を使っての移動がはばかれることから、参列できなかったり、リモートで葬儀に参加したという人も少なくありません。
「第5回お葬式に関する全国調査」(株式会社鎌倉新書 2022年調べ)によると、コロナ禍で葬儀を行った葬儀の種類は「家族葬」が55.7%で最も多く、次いで「一般葬」25.9%、「直葬・火葬式」11.4%となっています。2015年頃は、一般葬が6割、家族葬が3割ほどの割合で行われていましたので、8年足らずの間に葬儀の主流は「一般葬」から「家族葬」へと変化していることが、この数字からもうかがえます。
さらにコロナ禍においては、「一日葬」で済ませてしまう人が、とくに都会では増えています。通常の一般的な葬儀は、一日目に通夜式、2日目に葬儀・告別式、火葬というふうに2日間にわたって執り行われますが、一日葬は1日目の通夜式を省いて1日で葬儀を執り行うことをいい、お通夜後にふるまわれる食事等もありません。
そのため一日葬は、「会場代や食事代が軽減できる」「集まる機会が少ないとクラスター(集団)の発生防止になる」等から増加傾向にありますが、そもそもお通夜とは、お釈迦様が亡くなった時に、弟子たちがそのご遺体の側に寄り添って、夜通しお釈迦様の教えについて語り合ったことに由来していると言われており、仏事の大切な行事の一つとされています。
宗派やご住職様の考え方によっては一日葬に対応してもらえない場合もあり、一日しかないため都合がつかず、参列できない親族がでてくることもあります。一日葬を希望される場合は、お寺さんや親族に、事前に確認をしたうえで決めることをオススメします。
また著名人等の訃報の際に「密葬」という言葉をよく耳にします。密葬と家族葬との違いは、どちらも少人数で行う葬儀までは同じですが、密葬は後日、改めて本葬や社葬、お別れの会、偲ぶ会などを行うことを前提としています。
もしもの時にどのような葬儀を執り行ってほしいのか。「家族葬」なのか「一般葬」なのか「密葬」なのか・・・知らせておかないと、あなたの希望や思いは伝わりません。できれば葬儀に来てほしい人のリストなども合わせて、元気なうちに準備しておくとよいでしょう。
- 2023年3月9日